ヤマハ音楽教室ジュニア科に通う小学2年生のお子さまが、初めての学習者グレード9級に挑戦されます。自由曲・課題曲には自信がある一方で、初見演奏や伴奏づけ、聴音といった即興性のある課題にちょっぴり不安を感じているとのこと。初めての経験ですから当然のことと思います。親御さんとしては、ヤマハならではの総合的な音楽力を育むグレード内容の素晴らしさを感じていらっしゃるので心配しながらも応援しておられます。
お子さまの不安に寄り添い、自信を持ってグレード試験に臨めるようにするための具体的な声かけやサポート方法、そして親子でグレード試験を前向きに捉えるためのヒントを私なりに考えってみました。
グレード試験の「即興系課題」ってどんなもの?(9級のイメージ)
まず、お子が不安に感じている初見演奏、伴奏づけ、聴音がどのようなものか、改めて確認し、親子でイメージを共有しましょう。「何が出るかわからない」という漠然とした不安を、「こんな感じかな?」という具体的なイメージに変えるだけで、気持ちが少し楽になります。
- 目的は「音楽を楽しむ力」の確認: ヤマハのグレード試験は、単に技術を測るだけでなく、音楽を多角的に理解し、自分なりに表現しようとする力や、音楽を心から楽しむ姿勢を大切にしています。100点満点を目指すテストというより、「今の自分の力を試してみよう!」「音楽で遊んでみよう!」というチャレンジの場と捉えましょう。
- 初見演奏:
- どんな楽譜?:9級では、比較的短い(数小節~十数小節程度)、簡単なリズムや音域のメロディが出てくることが多いです。ト音記号やヘ音記号の基本的な音符が読めれば大丈夫。
- ポイント:
- 慌てない、深呼吸!:楽譜をもらったら、まず全体を数秒眺めてみましょう。
- 知ってる形を探そう:「ドレミ」の階段や、「ドミソ」のジャンプなど、レッスンで習った音の並びが見つかるかもしれません。
- ゆっくりでOK!:速く弾くことより、一つ一つの音を確かめながら弾く方が大切です。最後まで諦めない気持ちが大事です!
- お家でのヒント:普段使っているテキストの少し先の曲や、まだ習っていない簡単な曲の楽譜を、「せーの!」で少しだけ弾いてみる「なんちゃって初見ゲーム」も楽しいかもしれません。
- 伴奏づけ(メロディに対する簡単な和音づけ):
- どんなメロディ?:親しみやすいシンプルなメロディ(8小節程度)が提示され、それに合わせて自分で簡単な伴奏(両手カデンツ)をつけます。
- ポイント:
- 得意な和音を使おう!:レッスンでよく使う「ドミソ(C)」「ドファラ(F)」「シファソ(G7)」などの和音を中心にベースの音を参考に考えてみましょう。
- 間違えても大丈夫!:「この和音じゃなかったかな?」と思っても、気にせず自分らしい伴奏を続けることが大切です。試験官は「正解」を求めているのではなく、「自分で考えて音にしようとしているか」を見ています。
- お家でのヒント:お子さまの好きな童謡や簡単な歌のメロディを弾きながら、お母さまやお父さまが「じゃあ、ここにこの和音はどうかな?」と一緒に和音を探す遊びも良いでしょう。
- 聴音(メロディ聴音、両手カデンツ聴音):
- どんな問題?:先生が弾いたメロディや和音(両手カデンツ)を聴き取り、鍵盤で弾きます。
- ポイント:
- よーく耳を澄ませて!:最初の音、音の上がり下がり、リズムの特徴などを意識して聴きましょう。
- 心の中で歌ってみる:聴こえたメロディを心の中で追いかけると、覚えやすくなります。
- わからなくても諦めない!:全部わからなくても、聴き取れた部分だけでも弾いてみましょう。
- お家でのヒント:ヤマハの教材のCDを改めて丁寧に聴いたり、親子で「ベースの音が上がってる?下がってる?」といった簡単な音当てクイズをするのも耳の訓練になります。
**一番の安心材料はヤマハの先生です。**レッスンの中で、グレードの課題について先生から説明があるはずです。もし、まだ具体的なイメージが掴めず不安なようでしたら、レッスンの際に先生に「9級の初見はどのくらいのレベルですか?」「伴奏づけでどんな変奏が良いですか?」など、お子さまと一緒に質問してみるのも良いでしょう。先生からの直接の言葉は、何よりの安心材料になります。
お子さまの不安に寄り添う具体的な声かけとサポート
お子さまが安心してグレード試験に臨めるよう、ご家庭では以下のような声かけやサポートを心がけてみましょう。
- 不安な気持ちを丸ごと受け止める
- 「初めてのグレード試験だもんね。どんな問題が出るか、ちょっぴりドキドキするよね」「不安に思うのは当たり前だよ」と、まずはお子さまの気持ちに共感しましょう。
- 「でも、〇〇ちゃんは今までレッスンでたくさん練習してきたし、先生もついているから大丈夫だよ」と、頑張りを認めて安心させてあげましょう。
- 「完璧じゃなくていいんだよ」と伝える
- 「グレード試験は、100点を取るためのテストじゃないんだよ。間違えちゃいけないって思うと緊張しちゃうから、リラックスしてね」
- 「先生たちは、みんなが一生懸命チャレンジしている姿や、音楽を楽しんでいる顔を見たいと思っているんだって」
- 「もし途中で間違えたり、止まっちゃったりしても大丈夫。最後まで諦めずに頑張ることが一番かっこいいんだよ」
- 「音楽のクイズみたいで楽しいね!」とポジティブなイメージを
- 「初見演奏って、初めて見る楽譜をドキドキしながら弾くの、宝探しみたいでワクワクするね!」
- 「伴奏づけは、〇〇ちゃんが作曲家みたいに、メロディにピッタリの素敵な和音をつけてあげるんだよ。どんな伴奏になるか楽しみだね!」
- 「聴音は、耳の探偵さんだ!どんな音が隠れているか、しっかり聴き取ってね!」
- 自信のある「得意な曲」を心の支えに
- 「〇〇ちゃんは、曲はバッチリ自信があるんだもんね!それは本当にすごいことだよ!その自信を持って、他の課題にもチャレンジしてみよう」
- 「上手に曲が弾ける力があれば、初見や伴奏づけだって、きっと大丈夫。指もちゃんと動くし、楽譜も読めるんだから!」
- プレッシャーにならない程度の練習サポート
- レッスンで使った初見や伴奏づけの曲を一緒に見返して、「先生、ここがポイントだって言ってたね」と話す。
- 「ちょっとだけ初見の練習してみる?このテキストの最初の2小節だけとか」と、ごく軽い感じで誘ってみる。(嫌がるようなら無理強いは禁物です)
- 寝る前に、簡単な音当てクイズ(「高い音どーれだ?」など)を遊び感覚で取り入れる。
- リラックスできる環境づくり
- 試験前日は、いつも通り過ごし、十分な睡眠をとれるようにしましょう。
- 当日は、時間に余裕を持って会場に向かい、バタバタしないようにします。
- 持ち物(受験票、必要であれば上履きなど)は前日に一緒に確認しておきましょう。
- 送り出す時は、「頑張ってね!」という言葉に加えて、「楽しんでおいでね!」「〇〇ちゃんなら大丈夫だよ!」と笑顔で送り出してあげてください。
親御さんの心構え:温かく見守る応援団長でいよう
- 親の不安は伝染します: お子さま以上に親御さんが緊張したり、結果を気にしすぎたりすると、その不安がお子さまに伝わってしまいます。「大丈夫、この子はきっとできる」と信じ、どっしりと構えて応援する姿勢が大切です。
- 結果よりも過程を褒める: 試験が終わったら、結果がどうであれ、「最後までよく頑張ったね!」「初めてのグレードにチャレンジできて、本当にえらかったよ!」と、その頑張りをたくさん褒めてあげてください。
- グレードは成長のステップ: グレード試験は、あくまでもお子さまの音楽的な成長を確認し、次へのステップにつなげるためのものです。今回の経験を通して、できたこと、ちょっぴり難しかったことを知り、それがまたこれからのレッスンの目標になります。
- ヤマハの先生を信頼する: 先生方は、お子さまの力を一番よく理解し、適切な指導をしてくださっています。安心して先生にお任せしましょう。
ヤマハグレードの即興性が育む素晴らしい力
親御さんが感じていらっしゃるように、ヤマハのグレード試験、特に即興系の課題は、お子さまの音楽的な能力を多角的に伸ばしてくれます。
- 真の読譜力: ただ音符を追うだけでなく、楽譜から音楽全体の流れや雰囲気を瞬時に読み取る力がつきます。
- 応用力と創造力: 習ったことをベースに、自分で考えて音楽を組み立てる力、新しいものを生み出す喜びを知ることができます。
- 度胸と対応力: 初めての状況にも臆せず対応する力、アクシデントがあっても乗り越えようとする精神的な強さが養われます。
- 音楽を「自分のもの」にする力: 将来、自分で好きな曲に挑戦したり、友達とアンサンブルを楽しんだりする際に、これらの力は必ず役に立ちます。
おわりに:初めての挑戦は、大きな成長のチャンス!
小学2年生で初めてのグレード試験に挑戦するお子さまは、今、大きな成長の入り口に立っています。ちょっぴりの不安と、ほんの少しのワクワク感を胸に、精一杯チャレンジしようとしています。
この経験は、音楽の技術だけでなく、心の成長にも繋がる貴重なものです。結果がどうであれ、この挑戦を乗り越えたことが、お子さまの大きな自信となるでしょう。
音楽を楽しむ気持ちを一番大切に、「〇〇ちゃんなら大丈夫!」という温かい応援の気持ちで、お子様の初めてのグレード挑戦を見守ってあげてください。