【ヤマハの悩み】ジュニア科のレベルが低い…このままではお金の無駄?

幼児科を修了し、期待を胸にジュニア科へ進級したものの、クラスの雰囲気や進度の遅さに愕然とする。これは「ヤマハジュニア科あるある」とも言える、非常に多くの方が抱える悩みです。

ヤマハの幼児科からジュニア科へ進級するタイミングは、多くの方が同じような壁にぶつかる「最初の大きな分岐点」です。

特に、お子さま自身がお家での練習時、お母さまの「弾けてない」の指摘に『周りもみんな弾けてないんだから大丈夫』と言い始めたとのこと。これは、お子さまの成長にとって非常に重要なサインであり、お母さまが「お金をドブに捨てている感覚」を抱かれるのも無理はありません。

ピアニストを目指すわけではないけれど、将来の選択肢を広げ、人生を豊かにする「確かな力」を身につけてほしいというお母さまは思っておられます。

今回は、なぜジュニア科でそのような状況が起きてしまうのか、そして、お子さまの「得意を伸ばし、苦手を克服する」ためにどうすればいいのか、私なりに考えてみました。

1. なぜ?「物足りないクラス」が生まれるヤマハのシステム

まず、なぜこのような状況が生まれるのか、ヤマハのシステムから理解する必要があります。

  • 最初の選抜「専門コース」への分岐: 幼児科修了時、意欲と実力が高いお子さん、そしてご家庭のサポートが手厚いお子さんたちの多くは、より高度な音楽教育を目指す「専門コース」に進級します。これにより、ジュニア科には、比較的「楽しく続けたい」というスタンスのお子さんが多く集まる傾向が生まれます。
  • グループレッスンの宿命「平均値」での進行: グループレッスンは、クラス全員がある程度ついてこられるペースで進めるのが基本です。練習してこない子や宿題を忘れる子がいると、どうしてもその子たちを待つ時間が長くなり、全体の進度は遅くなります。結果として、真面目に練習しているお子さまにとっては、常に物足りない状態が続いてしまいます。
  • ヤマハの強みが「弱点」に変わる瞬間: 幼児科で培った「耳の良さ(音感)」はヤマハの大きな強みです。しかし、ジュニア科で楽譜を読む訓練(ソルフェージュ)が徹底されないと、お子さまのように「音符を読まなくても、耳で聴いてなんとなく弾けてしまう」という状況に陥りがちです。これが、「苦手(読譜)が克服されない」根本的な原因です。

2. 最も危険なサイン「周りも弾けてないから大丈夫」という言葉

お母さまが指摘された、お子さまの「周りもみんな弾けてないんだから大丈夫」という言葉。これこそが、今の環境がもたらす最大のリスクです。

小学生になると、子どもは「クラスの中での自分の立ち位置」を強く意識し始めます。今のクラスでは、

  • 「練習しないのが普通」
  • 「宿題を忘れても大丈夫」
  • 「片手でしか弾けなくても怒られない」

という空気が、残念ながら「基準」になってしまっています。その中で、真面目に練習しているお子さまは、知らず知らずのうちに『これくらいで十分』『頑張らなくても上手な方でいられる』という低い基準に自分を合わせてしまうのです。

これは、せっかくお子さまの意欲と才能の芽を摘んでしまいかねない、非常に危険な兆候と言えます。

3. 「お金をドブに」しないための具体的な選択肢

では、どうすればこの状況を打開できるのでしょうか。考えられる選択肢をメリット・デメリットと共に整理します。

選択肢A:個人ピアノ教室へ移る

【メリット】

  • レベルが最適化される: お子さま一人のためだけのレッスンなので、得意な曲はどんどん進め、苦手な読譜は時間をかけて徹底的に指導してもらえます。
  • 「ごまかし」が効かない: 1対1なので、「なんとなく聴いて弾く」ことができなくなり、楽譜をきちんと読む力が身につきます。
  • 目標設定がしやすい: 個人レッスンに通っている他のお子さんのように「ディズニーの曲が弾きたい」といったお子さまの希望に合わせて、柔軟にカリキュラムを組んでもらえます。
  • 「井の中の蛙」から抜け出せる: コンクールや発表会など、より高いレベルの目標を持つきっかけも得られます。

【デメリット】

  • 良い先生を探す手間がかかる。
  • 月謝が今より高くなる可能性がある。
  • ヤマハのアンサンブル(合奏)の楽しさはなくなる。
選択肢B:ヤマハに残りつつ、外部の個人レッスンを併用する

【メリット】

  • ヤマハの友達関係やアンサンブルの楽しさを維持できる。
  • 個人レッスンで、技術や読譜の弱点を補強できる。

【デメリット】

  • 月謝が二重にかかり、金銭的負担が大きい。
  • 練習時間も2倍近く必要になり、小学生のお子さまには負担が大きい可能性がある。
  • ヤマハと個人の先生で指導法が違う場合、混乱を招くことがある。
選択肢C:ヤマハの他のコースやクラスを検討する

【メリット】

  • 慣れたヤマハのシステムの中で環境を変えられる。

【デメリット】

  • ジュニア科より上の「ピアノジュニア」などのコースは、進級のタイミングが限られていることが多い。
  • 別のジュニア科クラスに移っても、同じような状況である可能性は否定できない。

今すぐ始めるべき具体的なアクションプラン

どの選択肢を選ぶにせよ、まずはお子さまの気持ちを確認し、情報を集めることが重要です。

  1. お子さまと「夢」の話をする: 「〇〇ちゃんは、将来どんな曲が弾けるようになりたい?」「〇〇ちゃんのお友達みたいに、ディズニーの曲を楽譜見てスラスラ弾けたら、かっこいいと思わない?」など、ポジティブな問いかけで、お子さま自身の「もっと上手になりたい」という気持ちを引き出してあげましょう。
  2. ヤマハの先生に相談する(必須): 今のクラスの状況に対するお母さまの懸念と、娘さんの「周りに合わせ始めている」という状況を正直に伝えましょう。その上で、「この子の力を伸ばすために、先生から見てどのような環境がベストだと思われますか?」と、専門家としての意見を求めます。先生によっては、ヤマハ内の別のコースや、外部の個人レッスンを正直に勧めてくれる場合もあります。
  3. 個人ピアノ教室の「体験レッスン」に行ってみる(最重要): これが最も効果的なアクションです。百聞は一見に如かず。お住まいの地域で評判の良い個人教室を2~3つ探し、必ずお子さまと一緒に体験レッスンに行ってみてください。 マンツーマンで自分だけのために教えてくれる楽しさ、今まで弾けなかった部分が弾けるようになる喜びをお子さま自身が体験すれば、「こっちの方が楽しい!」と、自ら移りたいと言い出す可能性も十分にあります。

結論:その違和感は正しい。「環境」を変える勇気を

お母さまが感じている「このままではいけない」という違和感は、完全に正しいです。そして、その違和感に気づけた今が、まさに環境を見直す絶好のタイミングです。

お子さまの「得意が伸びない、苦手が克服されない」環境は、まさにお金をドブに捨てているのと同じです。それ以上に、お子さまの貴重な時間と、伸びるはずの才能を無駄にしていると言えるかもしれません。

お子さまの「ピアノが好き」という気持ちを、より高いレベルの「弾ける喜び」に繋げてあげること。それが、今のお子さまにとって最高のサポートになります。ぜひ、勇気を出して、新しい環境への一歩を踏み出してみてください。

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